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@TOYOZUMIKouichi

陸の奥とMANN: SYSTEM

「物語が始まる」2016年3月26日から2年たった今日、長年作りたかった青森を舞台とした小さな作品をリリースできたことは大変嬉しい。見てくれた方、またリツイートしたりシェアしてくれた方に感謝の気持ちを記すとともに、まだ未見の方にはご覧いただきたい。そして「青森に行きたい」と思ってくれたら、心から嬉しく思える。


陸の奥 -HEART OF AKITSUSHIMA-

さて、来たる4月1日に開催される自主怪獣映画野郎の頂上決戦、全国自主怪獣映画選手権東京総合大会にて僕が監督したFILMASSEMBLER制作の「MANN: SYSTEM」が上映される。

タイトルからするとまともな作品のようだが、1分50秒のパイロットフィルム、予告編物である。要はそれらしいシーンを繋げてカッコいい音楽のノリと勢いで作った作品である。まあ、まともな作品のパイロットフィルムではある。

自主怪獣映画選手権というのは大変厳しい大会である。玉石混交とはまさにこのこと、ということもできるが、実態はとても厳しい。確かに僕が投げつけるような岩石もあるが、本気の玉が大多数を占めているからだ。

人生を費やそうとしている大学生に本気で取り掛かられると片手間に作っている素人のおっさんは為すすべもない。エレキングに巻きつかれたミクラス状態である。完全に技術で勝ち目がない、それが自主怪獣映画選手権である。だから、おそらく今回も無得票の最下位で大会を終えるだろう。ほとんど確信に近い予感がある。

ただ、珍しく上映前にこんなエントリィを書いているので、実はちょっとだけ自信がある。繰り返すが映像は本当に稚拙である。こんな雑な絵を本気の作品で通したことはなかった、という水準の噴飯ものの映像が矢継ぎ早に繰り出される。しかし、予告編の目的である「本編への期待」というものをちょっとばかり、作れたのではないのか、と思うのだ。

自主怪獣映画選手権の作品要項はただ一つ、巨大怪獣が登場すること、である。そしてタイトルから僕が何をやろうとしているかは分かると思う。

特に力を注ぎ込んだのは、予告される作品の世界観を伝えることである。世界設定や雰囲気を伝えることも大事だが、より伝えたかったのは世界観だ。

作品が世界をどう捉えているのか、何を期待しているのか、何を諦めているのか、何を信じ、何を評価し、何のために進もうとするのか、観客に何を問うのか、それを2分未満の中に注ぎ込んだ。もちろん、容量には限度があるのでごく一部である。しかし、その成分の豊饒さを伝えられると思っている。

世界設定を伝えるのは簡単だ。文章にすればいいからだ。だから、往々にして世界観とは世界設定のことにされてしまう。けれども、僕は作品で本物の世界観を描きたい。だから、そのために持っている演出の道具や、さまざまな知識を投入した。その作用には自信がある。そこには一つの言葉にはし難いものの、明らかな世界が見えるはずだ。

世界観は映画の武器である。そして、僕はそこを操ることについてそれなりの自信を持っている。けれども、今まで映画でそれを描ける機会はPathfinderしかなかった。7年ぶりに映画の舞台で「MANN: SYSTEM 」という大作の世界観を描けた、そう思っている。だから、こんなエントリィを書いているのだ。

いつも書いているが、入巣先輩の言うとおり「技術のない者が情熱をいくら注ぎこんでも結果は知れたもの」だ。特撮の技術も、CGIの技術もない僕には情熱を注ぎ込んでも、何も残せない。怪獣映画を生業にすることを選んだ青年達の熱量と技術に僕が敵うはずがない。

だが、映画監督としての技術はある。そして僕は誤解を恐れながらも言うのなら「自分が世界最高の映画監督であると思ったことは一度もないが、ある種の付帯条件の下において自分以上の監督がいるとも思っていない」。もし、自分以上の監督がいることを認めるのなら、永久に僕は映画監督としやっていけはしないだろう。そして、それを認めないためのある種の技術を持っている。その技術はふんだんに注ぎ込んだ。そこでは負けるつもりがない。どんな評価になったとしてもそれは変わらないし、いつもそうだけれど、今回はかなり存分にふるったという感覚があるので、こうして書いている。だから、何を書きたいかというと、観てほしい、ということなのだ。

最後に記すが、当日とはいかないが近日中にウェブでも公開するので是非ご覧いただきたい。ただ、ウェブ公開版は上映版とは若干違う。上映版には「そもそも自主怪獣映画選手権に来るような人間にしかわからない仕掛け」を施してある。この仕掛けがウェブ公開版に入らない理由は伏せるが、気づいた人には「なるほど」と思ってもらえるはずだ。なお、仕掛けの詳細も今のところ僕から明かすつもりはない。だが、別にその部分を見なくてもなんの問題もない。

ウェブ公開版の方が、良い映像にはなるはずだ。修正したいので、するだろう。あと、何度も見られるし、一時停止もできる、という大きな利点がある。一時停止されると困る作り込みの荒さはもちろんあるが、一時停止して確認してもらいたい魂を宿した自信もある。