六月の開発局

「業界の人」じゃないよ

第11回全国自主怪獣映画選手権東京総合大会

僕も自作を引っさげて参戦したので、全作品の感想のようなものを書いていきたい。なぜ「ようなもの」かというと、 あまり批判的なことを書いていないからである。本当の感想ではない。当然ながら自作は無得点(たぶん)の無冠だったので、他の監督の作品を批判して「意趣返しを試みている」とか「器の小さい男だ」とか思われるのも癪だから、良いことしか基本的には書かない。実に器の小さい男である。

だから、心の底からの感想ではない。誤解なきよう。あと、ネタバレが若干ある。

当然、諸監督が読みに来ることを計算に入れてそこかしこに自作へのリンクを入れ少しでも見させるという姑息極まりない設計になっているのでご了承頂きたい。それぐらいの姑息さなくしてド素人の30のオッサンが怪獣映画を作り続けられる筈がないのである。

はたらけ!ビビッドマン!

ビビッドマン製作委員会が送るシリーズの最新作である。ビビッドマンブレイヴの予告編は米子で見ていたが、本編は初めてである。

そうそう、僕が米子大会にしか出現しないので、関西の人間だとここでも思われていたようだ。

さて、作品だが、いきなり70年代風アニメが始まり、そのレベルの高さに驚いた。さすが美大である。黒澤明七人の侍を撮る時「カツカレーの上にハンバーグを乗せて卵でとじたような豪華な映画」と言ったそうだが、特撮というカレーライスにカツというアニメを乗せた、カツカレーのような作品である。

見事なミニチュアワーク、楽しいストーリィ、受賞も納得だ。

スタッフも大変気のいい学生たちで、懇親会ではおっさんの演説に付き合ってくれた。

2014ゴジラなアクア様(意味深)。

わたしが怪獣になっても

可愛くてスタイルのいい女の子を主演に据えるという、大罪を犯した作品。まあ、去年の僕の「」の方がそういう意味では罪が深いが(異論は認めない)。

Youtubeで公開することを狙って短く楽しい作品に仕上げている。かなり笑わせてもらった。楽しかった。Youtubeはよ。

テレスドンを狙ったが大分デットンに(意味深)。

黄昏せまれば

過去参加した自主怪獣映画選手権の二大会における、僕の唯一のアドバンテージだった「CGI芸人」というポジションを完膚なきまでに叩きのめした強力な作品。品質の高すぎる映像で、僕は存在意義を失った。もう立ち直れない。もう演出能力だけでやっていくしかない。

町内英雄列伝 ザハトラX

今大会には音楽担当の夏海をお供に連れて行ったのだが、実は不安なことがあった。相当怪獣好きで心の広い人間でないと、苦痛なレベルの作品というのが自主怪獣映画選手権には出てくる。だから、つまらない思いをするだけではないか、と思ったのだ。

このザハトラXはそんな不安を吹き飛ばしてくれる、快作である。とにかくテンポが良く、わかりやすいストーリィとキレのいいアクションに見栄えのする絵作りとあらゆる面でレベルの高い一作である。おもしろかったし、手放しで他人に勧められる。

大怪獣ライナス

高校の卒業制作で作った作品とのことである(うろ覚え)。この作品の見所は、メインヒロインである。気の強そうな、めっちゃ強そうな、イイ感じの美人女子高生がメインヒロインをやっている。女刑事である。最高である。

おまけにレオナルドナントカとか言うドイツ人も出てくる。確かドイツ人だった。この人も大変イイ感じである。残りの二人も個性的な役者だったが、とにかく女の子と外国人が強烈で印象的であった。お話も一生懸命考えて、作りきった感じがして良い。いい人間を揃えて作品を仕上げられる、これだけで高校生としては特別な力を持っていることがわかる。すごい。

ドクロ太郎

昭和みたいな歌に乗せて、昭和みたいなソフビがバトルを繰り広げる作品である。なかなかノリが良く、楽しめた。やはり映画にはわかりやすい、歌いやすいメロディの歌が必要であると再認識させられた。ググれば出てくるので見てみると良い。エレガブ監督のドクロ太郎である。

クリュティアの夢

ものすごく美しい制服姿の女の子が全編に登場する大変尊い、美しい作品である。美しさを追求した感がある。僕もやったことなので、良いと思う。やりたいことをやった、という印象がある。その美しさを今度はエンタテインメントの中に取り込んでほしいと思う。そう、僕らがガメラ3に感じたものを、作れる気がするのだ。

いつか、陽の当たるその時に

自主怪獣映画を撮る時に難しいのはキャラクタの配置である。大体怪獣映画なんか作ろうとするやつは、顔の長い痩せ型のメガネ、つまり僕よりマシな顔の集団になるので、キャラの判別がつかなくなるのである。この作品は「デフォルトフェイス」「強そうなジャーナリストのねーちゃん」「おとなしそうな朴訥な印象の女の子」「強そうな軍人」と四人の特色あふれるキャラクタを並べられた、すごい作品である。これだけビジュアルでキャラがはっきりしたものを並べられるのも珍しい。必要なキャラを絞り込んで、上手く並べた感じがある。よくわかってる。

監督も大変気のいい学生で、懇親会ではおっさんの演説に付き合ってくれた。

ドラゴンザウラー バトルゾーン

映像ドラッグである。カーチャンにシン撃の大怪獣軍団見せたら中毒になってしまった。

無明長夜の首なしの怪獣

自主怪獣映画選手権で「上映時間30分」とあればそれは「地獄の始まり」の可能性がある。当人たちは一生懸命作っているし、絶対に必要なシーンだけで構成されているのかもしれないが、見ている観客にとっては苦痛極まりない作品というのが、残念ながらある。僕はそれを避けるために作品をとにかく短くしている。最初は15秒しかなくて、田口監督に「90秒にして」と言われた。そして今回1分50秒にしたら「単調で退屈」と酷評されたのである。そういうものなのである。30分とはかなり危険な香りがするのである。

が、始まってすぐ「おもしろい30分」である予感が漂い始めた。すべてのクオリティの基礎点が高い。役者の演技と絵作り、キャラクタや台詞の配置、そして特撮、すべてにおいて高いレベルにある。僕が見てきた過去三大会の中でも最もおもしろい作品であった。

MANN:SYSTEM

ワシの作品である。前の作品がダイヤモンド、後ろの作品がエメラルドで、間に公園で拾ってきた石が混じってしまったみたいなひどい配置である。なにか恨みでもあるのかと思った。泣きそうになった。一応書いておくと、短いのと長いのを交互に並べているそうである。

まあ、そのうち公開されるだろう。4月のうち、気合の入った作品を公開するのに最も相応しい日に公開する予定だ。ちょっと修正入れるけど。

そうそう、僕が一生懸命仕込んだ「上映版の特別な仕掛け」はまったく誰にも気付かれなかったようだ。泣いちゃう。

っていうか米子大会みたいないい加減な大会だと思ってたのに皆の作品レベル高いし、泣いちゃう。

田口監督の質問も米子と違ってすごい厳しいし、泣いちゃう。

豪炎巨神エルガイザー

いろいろすごいのだけれど、とにかく印象的なのがキャストである。こんなライダー顔、ヒーロー顔の役者がどこにいたんだと思うぐらい、ヒーロー顔の男を主人公に据え(しかも当然ながら演技が見事)、司令官顔の男を司令官に据え、ヒロインみたいなヒロインをヒロインに据えた作品である。ここに今回はじめてとは思えないミニチュアセットを並べ、見事な映像の質感とわかりやすくスジの通ったストーリィで固めた快作である。卒業制作に相応しい完成度である。

主人公を演じた小野氏は大変気のいい人物で、懇親会ではおっさんの演説に付き合ってくれた。

大怪獣ゲルノコギラス-ツクネトロン襲来-

爆竹である。とにかく爆竹である。爆竹。爆竹はいいぞ。あと、あの手この手を駆使して実相寺アングルで人数を多く見せかけようという努力の伝わる作品である。

JJ-4’対コウエンガ

自主映画で大切なこと、それはキャラがどんな人物なのか一発で理解させることである。葉加瀬と江良井、このネーミングセンスとそれにあった人物を配した配役、それでこの映画の成功は決まったようなものである。大事な基礎的なところを決して外さない、そういうことの積み重ねが、見やすさ、受け入れやすさ、しまいには「見てよかった感」へとつながっていくのだ。そしてそれを見事にやり遂げた作品である。

連続特撮ドラマシリーズ FUGA-フーガ- 第一話「秩序を呼ぶ者」

総計恐らく3時間近い作品を作り上げただけで賞賛に値するし、一話を見る限り、全体的に良く出来ているので更に賞賛されるべき作品である。進行管理が相当大変だったと思う。今大会一番かっこいいカットをこの作品のワンカットとしてもいいぐらい格好いいカットもある。続きが見たいが、見られるのだろうか。

監督も大変気のいい人物であった。監督は「ヒロインにはピンク系とイエロー系がある。それを分けて出すことが重要」と解説されていて「そういや俺もPathfinderの時遠藤と林はそうだったのかもしれないな」と思った。説明がわかりやすいことは、監督の必須能力である。

機械忍者

自主怪獣映画選手権の常連監督、黒川監督の最新作である。今までで一番おもしろかった。ものすごく進化していた。設定がすごく良くて、ストーリィも大変わかりやすく、よかった。ちょっと懐かしい色調の絵作りも好感が持てた。恐らく黒川監督のことだから、Youtubeで公開するだろう。見ると良い。

ああ、なんか自分の作品についていろいろ書こうかと思ったけど、ちょっとここまで書いて疲れてしまったので、またMANN:SYSTEM公開のときにでもしよう。